撮影と計測
弾道計測器:レーダー式とカメラ式は何を測っているか
弾道計測器は、計測した数値とモデルが出した数値を同じ書体で印字します。ドップラー式とカメラ式がそれぞれ何を観測しているのか、どこに置く必要があるのか、そしてどの数値がその違いを生き延びるのか。
ドップラー式が実際に見ているもの
ドップラー式は打つ人の後ろに置かれ、自分が出した電波が動くものに当たって返ってくるのを読みます。一次情報として手に入るのは、センサーへ向かう線に沿った速度。それをボールが空中にある間、繰り返しサンプリングしていく。自社レーダーについて TrackMan はこう書いています。ボールはインパクトから飛行の全区間まで連続して追跡される、推定ではなく計測だ、と。
その主張が通るかどうかは、機械の置き場所しだいです。屋外で前方が開けていれば、ボールは弧の全体をビームの中で飛び、距離は追跡された軌道から出てきます。屋内でスクリーンが6メートル先にあれば、追える飛行は数ヤードで終わり、表示されるキャリーは見たものではなく計算したものになる。
カメラが持っているのは一瞬だけで、飛行はない
Foresight は自社の方式を、インパクトの領域をさえぎるものなく直接見たうえでの正確なフォトメトリック計測だと説明します。4台のカメラが決められた空間を見張り、そこからボール初速、打ち出し角、方位角、総スピン量、スピン軸の傾きが出てきます。さらにクラブスピード、打点、アタックアングル、クラブパス、インパクトロフト、クロージャーレートも。
どのカメラも持っていないのが、飛行です。TrackMan は光学式を、インパクトの一瞬を切り取って残りはアルゴリズムが予測するもの、と表現しています。レーダー会社の営業文句であると同時に、当たってもいる。もっとも、この線引き自体が半ば宣伝です。Mevo+ はドップラーレーダーに同期した高速撮影を組み合わせ、Rapsodo の MLM2PRO はレーダー処理と並べてデュアル光学カメラを走らせています。
センサーを置く場所
5.5メートル / 18フィートTrackMan 4、屋内でのスクリーンから本体までの距離
TrackMan 自身の設置ガイドが、その差を数字にしています。ボールの後ろに置く TrackMan 4 は、スクリーンと本体の間に5.5メートルを求めます。これを詰めるとスピードの速いショットで数値がばらつく、とガイドは警告している。天井に取り付ける iO は、同じガイドによればインパクトとボール飛行の初期に絞った機種で、スクリーンからボールまで3メートル、後方は不要です。
小型のレーダー機も同じ要求を繰り返します。FlightScope が Mevo+ に求めるのは、屋外ならティーから8フィートとさえぎられないボール飛行、屋内なら7から9フィートに加えて前方に13フィートの飛行区間。Rapsodo はボールの後ろに6.5から8.5フィート、さらにネットまで8フィート。建物から一度も出ないショットのために、14フィートの部屋が要ります。
音で確かめる
クリックは3回。テークバック、トップ、インパクトです。まずツアーのテンポから始めて、自分が実際に振れるものに合わせてください。
正体が出るのはスピンの数値
118球中42球スピンが計測ではなく推定だったために捨てられたドライバーショット
屋内では、スピンを読めるだけのボールをレーダーが見られないことが多く、そこでメーカーが変えるのはボールのほうです。FlightScope は、Mevo+ の屋内スピンを正確だと言うために、金属ドットか Titleist RCT ボールを要求します。Rapsodo はもっと単刀直入で、自社の RPT マークが入ったボールでなければ MLM2PRO はスピンを表示しません。
機械はどちらをやったのか自分で分かっていて、それを表示します。Alex Bliss(アレックス・ブリス)と Ben Langdown(ベン・ラングダウン)は、屋内で Mevo+ を TrackMan 4 の隣に並べました。ゴルファー1人、410球、FlightScope の指定どおりディンプルのひとつに金属箔のマーカー。スピンには計測か推定かのラベルが付いて出てくるので、二人は推定のショットをすべて捨てています。ドライバーは118球中42球、7番アイアンは118球中31球、ピッチングウェッジは174球中41球。
ラベルが付いていても保証にはなりません。7番アイアンで残った80球のうち5球は、計測と表示されて出てきながら11,000から13,500rpmを示しました。同じ打球での TrackMan よりおよそ6,000高い。著者らは、ボールのシームが返ってくる波を真の2倍の周期で変調させたためだとみています。
公表されている一致度の数字
513rpm二台の計測器間のショットごとのばらつき、ドライバーのスピン
ボール初速とクラブスピードは、二つの技術が一致するところです。Brennan らはジュニアゴルファー29人を、1人あたりドライバー10球と6番アイアン10球、Mevo+ と TrackMan 4 で同時に計測し、どちらも0.92以上の相関を報告しました。
いちばん悪かったのがスピンです。平均バイアスは1,238rpmに達し、95%区間はマイナス2,628から5,103。ドライバーの3,000前後という数値のまわりに、8,000rpm近い幅が開くことになります。この研究は推定を含めて全球を残しました。計測だけを残した Bliss と Langdown では、ドライバーの平均差は55rpmまで縮み、それでも球ごとのばらつきは両側に513rpmありました。
もう一つの犠牲者が、小さな角度です。同じドライバーショットで、二台は平均絶対パーセント誤差にしてクラブパスで40%、アタックアングルで44%、フェース・トゥ・パスで47%食い違いました。7番アイアンではヘッドスピードが時速4.44マイルずれています。これを全部打ったのは、1人のゴルファーです。
二種類を分けてくれないスペック表の読み方
どちらのメーカーも、二種類の数値を分けていません。Foresight はボールの弾道データとクラブデータを、ひと続きの一覧として並べます。FlightScope の Mevo+ のページはフルスイングのパラメーターを17項目挙げ、その中にキャリー、最高到達点、ラン、トータル距離が入っている。屋内でボール飛行に13フィート必要という注記から、数行しか離れていません。13フィートの飛行から出てきたランの距離は、モデルの見解です。それがボール初速と同じ書体で並んでいる。
仕分けは質問ひとつで済みます。この数値が生まれる前に、何が物理的にセンサーへ届いたのか。ボール初速、打ち出し角、スピン、打点は観測に近いところにあります。キャリー、トータル、最高到達点、落下角はモデルの出力です。あの屋内研究の TrackMan は正規化条件、高度ゼロ、無風で動いていて、そこに出た249ヤードのドライバーキャリーが説明しているのは、6メートル先のスクリーンにぶつかったボールです。スマホはその外側にいます。Pebble Swing が動画のコマから読み取るのは関節の角度と、バックスイングとダウンスイングの時間比。ボールの数値はひとつもありません。
よくある質問
- 屋内でスピンの数値を見るには、専用のボールが要りますか。
- レーダー式なら、多くの場合そうです。FlightScope は Mevo+ の屋内スピンを正確だと言うために金属ドットか Titleist RCT ボールを求め、Rapsodo は RPT マーク入りのボールがなければ MLM2PRO にスピンを出させません。なくても数値が出ることはあります。それはセンサーが実際に捉えた分から導いたものです。
- 同じ打席で二台の計測器が違う数値を出しました。どちらが正しいのですか。
- どちらも真値ではなく、ずれ方は見当がつきます。Bliss と Langdown は、同じドライバーショットで二台がクラブパスで40%、フェース・トゥ・パスで47%離れ、7番アイアンのヘッドスピードでは時速4.44マイル違うことを見つけました。ある日の数値は、同じ機械で出した自分の過去の数値とだけ比べてください。
- 屋内スクリーンのキャリーは、本当の距離ですか。
- 計算です。ボールは数ヤード先でスクリーンに当たるので、弧を観測しているものは何もありません。数値は条件を決めた飛行モデルから出てきます。あの研究では高度ゼロ、無風でした。自分のショットを並べて比べるには使えます。ヤーデージの言い争いには弱い。
- どちらの技術を買うべきですか。
- 部屋から決めます。レーダーはボールの後ろの奥行きと、前方の開けた空間を要求します。MLM2PRO なら6.5から8.5フィート、TrackMan 4 ならスクリーンから本体まで18フィート。光学式は打つ位置が決まっていることを求め、奥行きはほとんど要りません。センサーを自分の空間に合わせることです。
出典
このページの数字はすべてこの中のいずれかによります。
- Bliss & Langdown, "Comparing indoor tracking of golf ball and club metrics: consistency and absolute agreement of the Flightscope Mevo+ and Trackman 4 launch monitors", JSAMS Plus
- Brennan et al., "Validity and Reliability of the FlightScope Mevo+ Launch Monitor for Assessing Golf Performance", Journal of Strength and Conditioning Research (abstract)
- TrackMan: How much room do you need for a golf simulator?
- TrackMan: What is a golf launch monitor?
- Foresight Sports: What We Measure
- FlightScope Mevo+ product page: data parameters and setup distances
- Rapsodo MLM2PRO: technology, RPT balls and space requirements