数字が意味するもの
スイングの最下点と、根拠のない4インチ
読み終わるころには、弾道計測器のいう最下点が何を指しているのか、インチで語られるあの有名な数字に測定の裏づけがないこと、そして軌道の底が一球と次の一球でどれだけ動くのかがわかります。
弾道計測器のいう「最下点」とは
トラックマンの技術的な定義は、ゆっくり読む価値があります。最下点とは、最大圧縮の瞬間における、クラブヘッドの幾何学的中心からスイング軌道の最も低い点までの距離。最大圧縮とは、ボールがフェースに押しつけられていちばん平たくなった瞬間です。その瞬間が物差しのゼロ。だから最下点は符号を持つ距離であって、地面にペンキで印をつけられるような一点ではありません。
最下点はアタックアングルの別の言い方でもある、とトラックマンは付け加えています。ボールが潰れる時点でまだ下へ動いているクラブは、最も低い点がインパクトの後に来る。上へ動いているクラブは、すでに通り過ぎている。その底がどこに落ちるか、そこへ向かう間に軌道がどれだけ深く走るかで、出るミスの種類が決まります。その二つを扱うのはダフリとトップのガイドです。このページが扱うのは測定のほう。
誰も発表していない4インチ
ツアー選手のアイアンで最下点はどこか、と聞けば、ボールの4インチ先あたり、という答えが返ってきます。追いかけても出典にはたどり着きません。最下点を距離として発表しているツアーのデータセットはなく、アイアンでその数字を報告した研究も見つかりませんでした。これはレッスンの見積もりが、繰り返されるうちに測定値の形をとったものです。
換算も無料ではありません。角度がインチに変わるのは、軌道の半径を決めたあとだけです。同じ下降角でも、長い軌道のほうが短い軌道より前で底を打つからです。ピッチングウェッジと4番アイアンで半径は違うし、二人のゴルファーでも違う。4インチと口にする人は、半径も一緒に、黙って口にしています。
一球ごとに、どれだけ動くのか
5.1°ダウンから2.6°アップゴルファー一人、7番アイアン80球のアタックアングル
アレックス・ブリスとベン・ラングダウンは、ハンディキャップインデックス8.7のゴルファーを一人、屋内のトラックマン4の前に立たせ、マットから打った7番アイアンのフルショット80球を分析しました。アタックアングルの平均は2.58度のダウン、標準偏差は1.31度。幅は5.10度のダウンから2.60度のアップまで。一回のセッションの中で、その軌道の底はボールのはるか先からボールの後ろまで移動したことになります。
二つ目の発見のほうが効きます。19の変数と3本のクラブで比べたところ、Mevo+とトラックマン4はほとんどの項目でよく一致し、アタックアングルだけが割れました。一致性のスコアは7番アイアンで0.06、ピッチングウェッジで0.03。最下点の位置を決める唯一の数値が、二台の機械が折り合えなかった数値だったわけです。
屋外では、コーク、ベツラー、ウォレス、オットーの研究が、96人のゴルファーが自然の芝から打った5番アイアン1127球を追跡しています。覚えておきたいのは、わずかなダフリについての結果です。インパクトでリーディングエッジが地面よりほんの少しだけ下に入っていた場合、ボールスピードの損失は予想より小さいものでした。最下点が数ミリずれていても、感じるほどの大事故ではありません。
音で確かめる
クリックは3回。テークバック、トップ、インパクトです。まずツアーのテンポから始めて、自分が実際に振れるものに合わせてください。
動かしているもの、動かしているように見えるだけのもの
アダム・ヤングは、最下点は一方向ではなく三方向に動く、と説明しています。上下。ターゲットに近づく方向と離れる方向。そして足に対する内と外。どれも軌道がどこにあるかについての話です。どれも手の位置ではない。まずそこを持ち帰ってください。
前足に圧力、というのが定番の処方ですが、聞こえるほど決着はついていません。ケビン・ボールは62人のゴルファーを二枚のフォースプレートに乗せ、圧力中心の動き方に二つの型を見つけました。インパクトまで前足へ動き続けるフロントフット型と、逆に後ろ足側へ戻っていくリバース型です。どちらもプロからハイハンディキャップまで現れたので、どちらかが技術的な誤りというわけではありません。なお、これはネットに打ち込む擬似的なドライバーショットでの結果です。
ボール位置とハンドファーストのシャフトの傾きには、それぞれ別のガイドがあります。この二つが変えるのは軌道のどこでボールと出会うかであって、軌道がどこで底を打つかではありません。ここまでの定義のどこにも、手の位置を軌道の位置に変える理屈はありません。
ターフから読み取る
0.1°と0.6mmそのアイアン追跡システムのロボット再現性
多くのゴルファーが持っている最下点の計測器は、芝だけです。ヤングの三つの軸は、それぞれ違う跡を芝に残します。最下点が深くなればディボットは深くなり、地面に触れ始める位置は手前になり、打点はフェースの上へ上がる。最下点をターゲット側へずらせば、接触もそれにつれて前へ移り、アタックアングルは鋭くなり、軌道はよりインサイドアウトに振れます。
誰も見ていないのが、横方向の軸です。最下点が足から遠ざかればヒール寄りの打点、近づけばトウ寄りの打点になります。だから、始まる位置が正しいディボットでも、軌道そのものは間違った場所にあるということが起こりえます。コークたちのグループは、クラブヘッドにマーカーを付けてこれらの軸を読み、下端の高さから一球ごとにトップ、薄い当たり、ナイスショット、ダフリへ分類しました。Pebble Swingが動画から読むのは関節の角度と、バックスイングと切り返し以降の時間比です。最下点を書き留めるのは、ディボットのほう。
よくある質問
- 最下点とアタックアングルは同じものですか。
- トラックマンは、一つの出来事の二つの言い方として扱っています。ボールが潰れる時点でまだ下へ動いているクラブは、最も低い点がインパクトの後。上へ動いているクラブは、すでに通過済みです。違うのは単位のほう。角度をインチに直すには自分の軌道の半径が要りますが、それを表示する弾道計測器はありません。
- スマホの動画で最下点は見えますか。
- 直接には見えません。軌道の底が来るのはボールが飛び去った後で、そのコマではヘッドが流れて写っています。しかも、その位置はレンズ一つでは推定するしかない軸の上にあります。撮るなら地面です。後方からディボットを一枚、元のボール跡も画角に入れて撮ってください。
- ボールを右に置けば、最下点も動きますか。
- 最下点そのものは動きません。変わるのは軌道のどこでボールと出会うかで、当たりも弾道もそれにつれて変わります。だからこの調整はよく効きます。軌道は動いていません。ボール位置には専用のガイドがあります。
- 二台の弾道計測器でアタックアングルの数値が違いました。どちらが正しいのですか。
- ブリスとラングダウンも、その問いに落ち着いた答えは出していません。彼らの二台はボールスピード、キャリー、ミート率ではよく一致し、7番アイアンのアタックアングルでは一致性が0.06でした。自分の数字は、同じ一台で出した自分の数字とだけ比べてください。
- ディボットがボールの先から始まっています。最下点は正しいですか。
- その一球については、そして一つの軸については正しい。ディボットの始まる位置が報告しているのは、軌道が前へ進みながら芝を横切った場所です。軌道がどれだけ深く走ったか、足からどれだけ離れていたかについては何も言っていません。ヤングの三つ目の軸が現れるのは芝ではなく、フェースのほうです。
出典
このページの数字はすべてこの中のいずれかによります。
- TrackMan: What is Low Point?
- Adam Young: What Is Low Point In The Golf Swing?
- Bliss & Langdown, "Comparing indoor tracking of golf ball and club metrics", JSAMS Plus
- Corke, Betzler, Wallace & Otto, "Predicting golf ball launch characteristics using iron clubhead presentation variables and the influence of mishits"
- Corke, Betzler, Wallace & Otto, "A novel system for tracking iron golf clubheads"
- Kevin Ball, "Weight transfer styles in the golf swing", PhD thesis, Victoria University