ミスの正体
引っかけとプッシュ、曲がらないミスの読み方
引っかけとプッシュは、球がまったく曲がらない二つのミスです。打ち出し方向がどちらを打ったのかを言い当てる仕組み、9つの弾道の表が本当に役に立つ場面、そして曲がるミスより真っすぐなミスのほうが安く済む理由をまとめました。
球が曲がらなかった二つのミス
-2°から2°トラックマンがまだストレートと数えるスピン軸の傾き
Golf Distillery は引っかけを、目標の左へ打ち出してそのラインを進み、横回転を持たない球と定義しています。方向をすべて裏返せば、そのままプッシュ、押し出しのミスになります。どちらも曲がらない。読み取りにくいのはそこです。スライスなら解釈すべき曲がりが手元に残りますが、引っかけが差し出す証拠は打ち出したライン一本きりで、そのあとには何もありません。
曲がりはボールのスピン軸の傾きから生まれます。トラックマンはマイナス2度から2度までをストレートボールとして扱っていて、同社の表にある150ヤードの例なら左右それぞれ約2.2ヤードにあたる幅です。傾きが生まれるのは、フェースと軌道が食い違ったとき。フェース・トゥ・パスがゼロとは、トラックマンの言い方を借りれば、フェース角とクラブパスが同じ値になっている状態を指します。
では、真っすぐに見えるにはどこまで近ければいいのか。LPGA の飛距離にあたる218ヤードのドライバーショットなら、2度の差ですでに14ヤード曲がります。ピンのはるか左に止まり、空中では曲がる気配すらなかったドライバーショット。あれはフェースと軌道の差が1度以内で、しかも両方が左を向いていたということです。
打ち出し方向は、目に見えるほうの半分
アダム・ヤングは、現在のルールを一行でこう言います。ボールはおおよそフェースの向いたライン上に出て、そこから軌道と反対側へ曲がっていく。つまり最初の30ヤードは、フェースの読み取り値です。ピンの左へ出たなら、フェースはピンの左を向いていた。そして曲がらなかったという事実が、二つ目の数値を渡してくれます。曲がらなかった球は、フェースのあった位置に軌道もあったということだからです。
この配分を係数として読まないでください。ヤングのページはフェースを打ち出し方向の75パーセント程度、軌道を25パーセントとしています。PGA Academy のトラックマン解説はクラブ別に分けていて、ミドルアイアンで75パーセント、ドライバーではおよそ85パーセント。読む価値のある出典が二つ、答えも二つ。安全側の結論は、フェースが打ち出し方向を支配していて、その支配の度合いはロフトによって動く、というところまでです。
9つの弾道と、あの表の使いどころ
3つの打ち出し方向に3つの曲がり方を掛け合わせると、9つの弾道になります。左・真っすぐ・右に出て、そこから左に曲がる、曲がらない、右に曲がる。引っかけとプッシュが座るのは真ん中の段で、左にも右にも曲がらない一球を挟んだ両隣です。この表は問題をひっくり返してくれます。フェース角もクラブパスも目では見えず、スマホのカメラでも分解できません。けれども打ち出し方向と曲がりなら見えます。
表そのものは、それを正した計測器より古いものです。ヤングは置き換えられた旧版も引いています。ボールはスイング軌道に沿って出て、フェースの向いた先へ着地する。同じ9つのマス目で、仕組みだけが逆でした。現行版にも条件はついています。トラックマンの書き方は、芯でとらえていることを前提に、というもの。ヒールに外して当たれば、どちらの数値も予測しなかったラインへボールが飛んでいくことがあります。
音で確かめる
クリックは3回。テークバック、トップ、インパクトです。まずツアーのテンポから始めて、自分が実際に振れるものに合わせてください。
真っすぐな引っかけがスライスより安く済む理由
13ヤード対9ヤードフェース1度、次に軌道1度の、目標からのずれ。250ヤードのドライバー
二つのミスに値段をつけてみます。フェースと軌道がそろったまま1度ずれた球は、キャリー250ヤードのドライバーで、狙いの左およそ4.5ヤードに落ちます。250ヤードに1度のタンジェントを掛けた数字で、足すべき曲がりはありません。アダム・ヤングは同じ250ヤードのドライバーで、そろっていない側も計測しています。フェースだけを1度変えるとボールは13ヤード、軌道だけを1度変えると9ヤード、目標から外れました。
同じ1度から出てくるのが、4.5ヤードと13ヤード。差の分が曲がりで、飛距離が消えるのもそこです。しかも直しにくいのは曲がりのほう。フェース・トゥ・パスの差は二つの数値で、動かす順番まで決まっているからです。引っかけは、一つの誤りを二度、すでに協力し合っている二つの部位がそろって犯しているだけ。だからスライサーがフェースを閉じて軌道に手をつけずにいると球は引っかかりはじめるのであって、それは前進です。
動画で決着がつくこと、つかないこと
どちらの数値も、あなたの動画には写っていません。スマホはクラブヘッドを流れた影としてしか記録できず、インパクトのフェース角は報告できないのです。Pebble Swing が読み取るのは、コマから取り出した関節の角度と、動きから取り出したバックスイングとダウンスイングのテンポ比。フェース角はそこに含まれません。ただ、コマが確かに持っているものはあります。構え全体がどこを向いていたかという情報で、フェースと軌道がそろったミスは、まさにその向きについての問いです。
Golf Distillery の二つのページは、どちらも原因の筆頭にアライメントの悪さを挙げています。静止画で決着がつく唯一の原因ですが、それは画面にターゲットラインが写っている場合に限ります。撮る前に、クラブを一本、目標に向けて芝に置いてください。それがないと、動画の中の左右はあなたの体を基準にするしかなくなります。右に5度向いたスタンスから、フェースも軌道もそのラインどおりに出れば、生まれるのは完全に真っすぐな球で、あなたはそれをプッシュと呼ぶことになります。
よくある質問
- 引っかけは、小さいフックのことですか。
- 違います。差は程度ではなく構造です。フックはフェースが軌道に対して閉じていて、だからスピン軸が傾き、球は空中で曲がります。引っかけは二つがそろっていて、軸はほぼ水平のまま。球は出たラインをそのまま守ります。
- 引っかけが出るのは、オーバー・ザ・トップだからですか。
- よくあります。Golf Distillery も原因のひとつに挙げています。アウトサイドインの軌道に、その軌道に対してスクエアなフェースが付けば、出るのはスライスではなく引っかけです。スピン軸を傾ける差が残っていないからです。軌道は変わっていません。変わったのは、フェースが軌道より遅れて来なくなったことのほうです。
- 引っかけは距離も出るし、曲がりもしません。直す価値はありますか。
- 向きを取り直す価値はあります。それは別の作業です。真っすぐで再現性のあるミスは方位の誤りで、まとまった散らばりが違う場所に置かれているだけ。そろった二つが指す先を動かせば、群れごと動きます。一致した軌道に対してフェースを開いたままにするほうは、いま持っていない差をわざわざ作り直す作業になります。
- プッシュと、向きが狂ったまま打った真っすぐな球は、どう見分けますか。
- ボールでは見分けられません。どちらも同じことをします。画面にターゲットラインを入れてください。地面に置いたクラブを目標に向け、肩のラインをそれと照らし合わせる。体が右を向いていて、球がそのラインどおりに真っすぐ飛んだのなら、そのミスは向きです。
- 芯を外して当たると、この読み方は崩れますか。
- 崩れるというより、条件がつきます。トラックマンはこのルールに但し書きを添えています。芯でとらえていることを前提に、ボールはフェース角の側へ曲がり、クラブパスから離れていく、と。ヒールやトウに外れた当たりは、とくにドライバーで、数値がそろっていた球にも曲がりを乗せることがあります。
出典
このページの数字はすべてこの中のいずれかによります。
- TrackMan: What is Spin Axis?
- TrackMan: What is Face to Path?
- Adam Young: The Ball Flight Laws
- Adam Young: The Biggest Cause of an Offline Golf Shot
- Golf Distillery: Push Shots, How to Stop Pushing Golf Balls Right
- Golf Distillery: Pull Shots, How to Stop Pulling Golf Balls Left
- PGA Academy (PGA of Australia): Starting Line, Path or Face?