数字が意味するもの
ミート率の上限1.50はどこから来るのか
ボール初速をヘッドスピードで割る。それだけで、ほかは何も入っていません。このページで扱うのは、上限を決めている用具のルール、ツアー選手がクラブごとに出している数字、そして数値が低いとき、それが実際には何を指しているのかです。
中身は割り算ひとつ
1.49トラックマンによるPGAツアーのドライバー平均
ミート率はボール初速をヘッドスピードで割った値です。トラックマンの定義がこれで、中にはほかに何も入っていません。ロフトも、打ち出し角も、風もない。クラブヘッドのエネルギーがどれだけボールに届いたかを報告しているだけです。ドライバーを時速100マイルで振ってミート率1.50なら、ボールは時速150マイルで出ていく。トラックマン自身が挙げている例です。
速度を速度で割ると単位が消える。弾道計測器の帳票の中でこの数値だけ毛色が違うのはそこで、時速88マイルで振るゴルファーと118マイルで振るゴルファーが、同じ物差しの上に並びます。その物差しは狭い。トラックマンのコンバインが出している男性アマチュアの平均は、ドライバーでスクラッチプレーヤーの1.49からボギープレーヤーの1.43まで。全員が0.06の幅に収まっています。
上限を決めているのはフェースのルール
239マイクロ秒特性時間の上限。公差込みで257
ドライバーのフェースはたわみ、ボールを打ち返してきます。その量を統括団体が制限している。2004年より前の物差しは反発係数でした。アンドリュー・タースキーはUSGAの上限を0.822とし、公差を含めて0.830を超えるものは不適合になると書いています。それ以降のテストは、振り子をフェースにぶつけて接触時間を計るもので、この数値を特性時間と呼ぶ。
ジョナサン・ウォールはその上限を239マイクロ秒とし、製造公差18マイクロ秒を足した257までが適合の上限だとしています。ただ、ルールのどこにも1.50とは書かれていません。アダム・ヤングはドライバーに出せる最良の値を1.5とし、その理由をボールとクラブの構造、そしてR&Aが課している制限に求めています。つまりこの上限は、どこかに明文化されているのではなく、フェースのルールから出てくる数字です。ウォールは、公差の上限近くで作られたクラブは使い込むうちに限界を超えることがある、という統括団体の指摘も引いています。ツアー会場でドライバーヘッドが検査されるのはそのためです。
ロフトが増えるほど数値は下がる
トラックマンのツアー一覧では、PGAツアー選手はドライバーで1.49、6番アイアンで1.39。LPGAツアー選手は1.49と1.41です。ピッチングウェッジは1.25あたりを指すはずだ、とトラックマンは書いています。パターンはロフトのほうにある。クラブが届けるロフトが大きいほど、衝突のうちボールを前へ送るのではなく回転させる側へ回る分が増える。届いたロフトと入射角の差については、別のページがあります。
LPGAの6番アイアンの数値はPGAより上で、1.41対1.39。この比率はゴルファーの序列ではない、ということです。トラックマンは後の記事で、都合の悪い半分を認めています。ミート率はドライバーには非常に有効だが、アイアンやウェッジでは解釈が難しく、ドライバー以外に良い数値の基準はない。そこから下では、この数字は成績表ではなく、自分の過去の値に引く傾向線です。
音で確かめる
クリックは3回。テークバック、トップ、インパクトです。まずツアーのテンポから始めて、自分が実際に振れるものに合わせてください。
数値が低いとき、指しているのはフェースで、力ではない
8ヤード短い0.5インチ低いヒール寄りの当たり、ヘッドスピード5から10マイル増
パインウッド・カントリークラブのジェームズ・ライツは、ミート率が低すぎると判断されたあとに調べるものを挙げています。フェース・トゥ・パスの関係、スピンロフト、そして打点の位置。力の入れ方は入っていません。トラックマン自身がエネルギーの損失について名指しするのも、芯を外した打点、大きすぎるスピンロフト、あるいは当たりの悪さで、どれもクラブがボールにどう当たったかの説明です。
Golf.comのロボテストは、この問いを機械に渡しました。ドライバーを時速95マイル、100マイル、105マイルに設定し、まず芯で打つ。次にトウ側とヒール側へ0.5インチ、4分の3インチ、1インチずらし、フェースの上と下でも打つ。芯の当たりは95マイルから100マイルで11ヤード伸び、100マイルから105マイルではあと2ヤードしか伸びませんでした。増えたスピードが、増えたスピンを連れてきたからです。
打点はこの符号をひっくり返しました。0.5インチ低く、ヒール側へ4分の3インチずれた当たりでは、ヘッドスピードが5マイル増えても10マイル増えても、ボールは8ヤード短く終わっています。ジョナサン・ウォールはこの損失を、フェース下3分の1で起きる縦のギア効果に帰しています。上3分の1のほうは、どちらのスピードアップでも距離を伸ばしました。
この比率が使える範囲と、その先
この数値には、盛りにくい性質がひとつある。上限が用具のルールで固定されているので、距離の数字のように、強く振れば上がるという種類の値ではない。ただしバークレー・ホールのアンドリュー・ライスは但し書きを付けます。ミート率は、ボールをどれだけ芯で捉えたかだけを表すものだと誤解されることが多い、と。
ライスが言っているのは、原因が何であれヘッドスピードがボール初速に変換された割合を報告しているだけであり、クラブによっては低くではなく高く出ることもある、ということです。中身の二つはどちらも接触の瞬間の速度で、レーダー式やカメラ式の計測器はそれを捕まえるために作られています。Pebble Swingが動画のコマから読むのは関節の角度と、バックスイング対ダウンスイングのテンポ比。別の計測です。
よくある質問
- スマホの動画からミート率は出せますか。
- 出せません。この比率はクラブがボールに当たった瞬間の二つの速度で、それを捕まえるのがレーダー式やカメラ式の弾道計測器の仕事です。Pebble Swingがコマから読むのは、関節の角度とバックスイング対ダウンスイングのテンポ比のほう。スマホがわかるのはボールにどう入ったかで、ボールがどれだけ速く出たかではありません。
- ドライバーが1.52と出ます。機械が嘘をついているのでしょうか。
- そうとは限りませんが、分母を疑ってください。トラックマンがドライバーで目安にしているのは1.50付近、PGAツアー平均は1.49なので、繰り返し出る1.52はトラックマンが印刷している数字の上に乗っています。アンドリュー・ライスは、クラブによってはミート率が高く出ることがあると指摘しています。ヘッドスピードが低めに計測されれば、それだけで比率は上がります。
- 芯に当てるために、ゆっくり振ったほうがいいですか。
- ロボットのテストは、無条件にそうだとは言っていません。芯の当たりは時速95マイルから100マイルで11ヤード伸びているので、当たりが保てるならスピードは報われます。保てなかったときが問題でした。0.5インチ低くヒール寄りに当たると、ヘッドスピードが5マイル増えても10マイル増えても、ボールは8ヤード短く出ています。
- ウェッジの数値がドライバーよりずっと低いのはなぜですか。
- ロフトです。トラックマンの目安はピッチングウェッジで1.25付近、ドライバーで1.50なので、ウェッジが1.20台の前半を指すのは欠陥ではなく普通のことです。届くロフトが大きいほど、衝突はボールを前へ送るより回転させる側へ回ります。仕組みはスピンロフトで、こちらにも専用のページがあります。
- 新しいドライバーに換えれば上がりますか。
- 新しいドライバーのフェースも、いま使っているものと同じ上限に対して作られています。特性時間239マイクロ秒、公差を数えて257です。フィッティングでロフトもシャフトもヘッドの重量配分も変えられますし、自分の打点に合うヘッドなら助けにはなります。買えないのは、ルールが許すより弾むフェースのほうです。
出典
このページの数字はすべてこの中のいずれかによります。
- TrackMan: What is Smash Factor?
- TrackMan: Smash Index and Spin Index, two essential metrics
- Andrew Tursky, Golf.com: Gear 101, what is a CT test and how does it differ from a COR test?
- Jonathan Wall, Golf.com: The golf-ball rollback announcement has 1 significant surprise
- Jonathan Wall, Golf.com: RoboTest, does speed or better impact lead to more distance?
- Adam Young: Smash Factor for Golf